
株式会社RIOT MUSIC(以下「RIOT MUSIC」)は、“終わらない、創造と体験を” をミッションに、音楽を中心とした様々なプロジェクトを展開しています。
今回は2022年11月の入社からわずか1年半で同社の取締役に就任した「クボP」こと久保 元気に、転職の経緯から現在に至るまで、そしてこれからの展望について、Brave group 代表取締役 CEO 野口 圭登と語ってもらいました。

Brave group 代表取締役CEO
野口 圭登(@keito_noguchi)
2011年の在学中に株式会社Vapesを創業。2016年に同社を株式会社ベネッセホールディングスへ事業譲渡、50社以上のスタートアップへのエンジェル投資、共同創業を経て、2020年に株式会社Brave group代表取締役に就任(現任)。

RIOT MUSIC 取締役
久保 元気(@genki_kubo)
印刷会社営業、人材エージェント営業・CSを経験し、2019年8月カバー株式会社へ入社。VTuber事業でマネジメントとコンテンツ制作に従事。2022年11月SuperYellow株式会社(現RIOT MUSIC)へ入社し、2024年4月に同社取締役へ就任(現在)。
リブランディングを経て
“新生RIOT MUSIC”が本格始動
野口:久保さんがRIOT MUSICの取締役に就任してから1年が経ちましたね。現在の心境はいかがですか?
久保:現場目線で見るとそれほど大きな変化は感じていません。取締役になったからといって、運営メンバーやアーティストとの距離が変わったわけではありませんし、Brave groupの経営陣の皆さんとも元々それほど距離があったわけではないので。
ただ、数字と改めてしっかり向き合うようになったことで、プランや戦略を考える際の視野が広がりましたし、より深くコミットできるようになりました。また、チームへの情報共有や意思疎通も以前よりスムーズになったと感じています。
野口:僕から見て、久保さんは以前にも増して「RIOT MUSIC」を主語に物事を捉えるようになり、経営的な視点もさらに強まっているように感じます。それにアーティストの皆さんや運営メンバーも、のびのびと活動に取り組んでいる印象を受けます。
久保:アーティストをはじめ、運営メンバーたち自身が楽しんでいなければ、お客さまにも“楽しい”と感じていただけない、と思っています。
言葉にするのは照れくさいですが、「久保イズム」のようなものが少しずつ浸透していたらとても嬉しいです。
RIOT MUSIC、VSingerレーベル「Blitz Wing」を「無原唱レコード」に改称し、ビジョン・ロゴ・公式サイトをリニューアル(2025年5月1日)
野口:RIOT MUSICは、前任者やウエダさん(現RIOT MUSIC 汽元象レコード プロデューサー)、矢口さん(現RIOT MUSIC 汽元象レコード プロデュースチーム)といったメンバーが築いてきたプロジェクトで、遡れば「ゲーム部プロジェクト」や「道明寺ここあ」から続く歴史があります。
そこに久保さんが仲間として加わり、VSingerレーベル「無原唱レコード」や2.5次元アーティスト特化のレーベル「汽元象レコード」、VTuber総合サポートプロジェクト「RIONECTION」を託され、2025年5月のリブランディングを経た今、ここからがある意味で久保さんによる新生RIOT MUSICの本格的な始動だと感じています。
人生を変えたライブ
リアル・オンライン同時ライブ「Re:Volt 2022」の開催が決定!(2022年2月16日)
野口:久保さんは、RIOT MUSICが2022年3月に開催したライブイベント『Re:Volt 2022』を観て、入社を決意してくれたんですよね。
久保:はい。それまでも様々なVTuberのライブやイベントを観てきましたが、バックバンドや空間演出ユニット「huez(ヒューズ)」を迎えて繰り広げられたアーティストたちのパフォーマンスには、今までにない感銘を受けました。
その後すぐに面接を受け、2022年11月にRIOT MUSICへ入社しました。
野口:最終面接が僕たちの初対面でしたよね。
前職ですでにVTuberプロジェクトのプロデューサーとして実績を持つ久保さんから「『Re:Volt 2022』を観て転職を決めました」と聞いて、純粋に嬉しかったと同時に、期待に応えなければと背筋が伸びる思いでした。
久保:周囲からは「もったいない」とも言われましたが、それ以上に、あの日僕が受けた「感動」を今度は届ける・広げる役割に就きたいという想いが強かったので、迷いはありませんでした。
僕は常に進化し続けたいと考えているので、スタートアップの環境で会社と共に成長していきたいという気持ちもありました。
野口:実際に入ってみてギャップは感じませんでしたか?
久保:会社の雰囲気についてはある程度聞いていたので、特にギャップは感じませんでした。ただ、Brave groupにおけるグループ会社の増加スピードには良い意味で驚かされました(笑)。
野口:確かに、久保さんが入社された頃から海外拠点の立ち上げやM&Aなど、大きな動きが続きましたからね。
久保:その推進力に加え、投資への思い切りの良さを見て「挑戦心のある会社だな」と実感しています。また、グループ会社一つひとつがきちんと成果を出していかなければというプレッシャーも感じています。
VTuber事業の経営者に最も重要なのは「信頼関係を築く力」
久保:それから「自分にできることは何だろう」と考える日々の中で、2023年の冬頃にRIOT MUSIC取締役への打診をいただいたことは、僕にとって大きな転機でした。
野口:当時は「自分にはまだ早いかもしれない」と話していましたよね。
久保:そうですね。僕はずっとプレイヤー側にいたので「自分に取締役が務まるのか」と正直不安でした。でも実際にやってみると、想像していたよりはきちんと役目を果たせているのではないかと感じています。
野口:当時からグループ全体で執行役員や取締役への抜擢を進めており、RIOT MUSICについてもバランスの取れた経営体制を築いていきたいと考えていました。
ファンビジネスである以上、「ファンの気持ちを理解し、タレントやチームメンバーから信頼されること」は経営者の必須条件です。
そういう意味でも久保さんは前職での実績がありましたし、現在もその点を見事に担ってくれていると思います。
久保:僕は「自分たちが楽しんでいなければ、お客さまを楽しませることはできない」と考えています。ですので、いまも外部のVTuberのライブやイベントに一般客として足を運び、僕自身が「バーチャルYouTuber」という文化の一ファンとして日々を過ごすことを大切にしています。
「好きなものを好きだ」と素直に言える人の周りには、自然と似た価値観や熱量を持った人たちが集まり、同じ志を持つ仲間と協力するからこそ、良い仕事ができると感じています。そして、その熱意がお客さまに伝わり、喜んでいただけた時は「全てがうまくいった」と思える最高の瞬間です。
野口:経営や数値管理の知見は後からでもしっかり身についてくるものだと思っています。ある種、役職が人を育てるという側面もありますから。
Brave groupでは本社がバックオフィス業務を担っているため、取締役であっても事業そのものに8割程度は集中できる環境を提供できていると思います。だからこそ重要なのは、ファンやタレント、チームメンバーとの信頼関係を築く力です。それを磨き続けてほしいと考えています。
久保:前職でも感じていたのですが、タレントから信頼を得るには、シンプルにコミュニケーションの積み重ねしかないと思っています。
「今後どのような方向に進んでいくのか」「どのような考えを持っているのか」といった会社の方針が見えないと、タレントの不安につながる場面は少なくありません。
だからこそ、責任ある立場の人間が一人ひとりと真摯に向き合い、説得力のある言葉で伝えることが重要だと感じています。今後も現場に足を運び、自分の言葉で対話し続けられる存在でありたいと思っています。
前任者からのバトンを受け継ぎ、自分らしい経営を
野口:前任者が築いたアイデンティティが残る中で、これからどう進めていくかを考えている久保さんの状況は、僕が前代表からUnlimited(現Brave group)を引き継いだ時の心境に近いものがあると感じています。
当時、グリー株式会社の田中良和さんから「野口が社長になったんだから、野口の強みに合わせた経営をしろ」と言われたことが大きな転機になりました。僕は事業を作るよりも、仲間集めやお金集めの方が得意だったので、そこから「経営統合だ!」という発想に至ったんです。
久保さんにも、自分の強みを活かしながら、やりたいようにやってほしいと思っています。
久保:ありがとうございます。僕は「業界を盛り上げたい」「支えたい」という同じ想いを持った仲間を集め、手を取り合って取り組んでいく、これが僕の強みであり“久保イズム”だと思っています。
以前にも増して、外部イベントへの参加や他事務所とのコラボレーションも積極的に進めています。
Live2Dでも出演可能なライブイベント『IGNITION!!』を開催
野口:今年5月に開催した『IGNITION!!』の評判はいかがでしたか。
久保:ありがたいことにチケットは完売し、想像以上の好評をいただきました。
お客さまについて語るのは恐縮ですが、ご来場いただいた皆さまが本当に礼儀正しくて温かく、会場全体が心地よい雰囲気に包まれていたと感じています。
ファン同士で自然に交流が生まれ、声を掛け合って譲り合う様子なども見られました。現地参加が初めての方にも、安心して楽しんでいただけたのではないかと思っています。
久保:VTuber業界のライブイベントは3Dモデルでのパフォーマンスが主流で、普段Live2Dで活動しているVTuberやVSingerには参加のハードルが高いという課題がありました。そこでライブハウスと協力し、Live2Dでも出演できるイベントとして『IGNITION!!』を企画しました。
今後はグループ内外を問わず、さまざまなプロジェクトが参加できる場として継続的に開催していきたいと考えています。
野口:いいですね。今回はRIOT MUSICだけでなく、グループ会社のタレントも参加しましたよね。
久保:はい。メンズVTuberプロジェクト『YUMENOS』から「綾見 ユラ」さん、異世界VTuberプロジェクト『ゆにれいど!』から「氷乃 渚」さんにも出演いただきました。
野口:人選には何か理由があったのでしょうか。
久保:実は、僕は “男性VTuber” に個人的な想い入れがあるんです。今は難しいですが、いつかまたプロデュースしたいと思っていて、『YUMENOS』や『ゆにれいど!』のメンバーも陰ながら応援してきました。
男性VTuberのファンの方は現場に足を運び、直接推しの活躍を見届けたいという方が多い傾向にあります。だからこそ今回の機会をぜひ活用してほしいと思い、お声がけしました。
僕のおせっかいで何か一つでも課題が解決できれば嬉しいですし、今後も僕の知見や経験をグループ間で活かせる場面があれば、積極的に協力していきたいと考えています。
バーチャルアーティスト・VSingerといえば「RIOT MUSIC」と言われる存在に
久保:やっぱり僕の原点は『Re:Volt 2022』を観た時に感じたあの感動体験にあるんです。
この想いは入社当初からずっと変わらず、もう一度あの頃のような大規模なライブを開催したいと思っています。そして、バーチャルアーティスト・VSingerといえば「RIOT MUSIC」と言われるような存在を目指し、盛り上げていきたいです。
その過程で失敗することもあるかもしれませんが、必ず成功で取り返すという強い意志を持って取り組んでいます。ファンの皆さまには、今後も変わらぬご声援とご期待をいただければ幸いです。
野口:現在はRIOT MUSICの取締役というポジションですが、将来的には“代表取締役”を目指してほしいと思っていますし、新生RIOT MUSICがグループ内外で存在感を発揮してくれることを期待しています!
久保:はい、輝いてみせます!
※この記事の内容は、2025年5月取材時点のものです。
RIOT MUSICとは
RIOT MUSICは、VSingerレーベル「無原唱レコード」、次元を繋ぐ新しい音楽レーベル「汽元象レコード」、VTuberサポートプロジェクト「RIONECTION」と、音楽を中心に多岐にわたるプロジェクトを運営しています。「終わらない、創造と体験を」をミッションに、体験者の人生を変えてしまうような心を揺り動かすコンテンツの創造と体験を生み出すことを目指しています。
・RIOT MUSIC HP:https://riot-music.com/
・RIOT MUSIC 公式X:https://x.com/RIOTMUSIC_info/
・無原唱レコード HP:https://riot-music.com/mugensho-record/
・汽元象レコード HP:https://riot-music.com/kigensho-records/
・RIONECTION HP:https://riot-music.com/rionection/
・常設オーディションサイト:https://riot-music.com/virtualartistaudition/