VTuber史上初の単独ワールドツアー『LIFETIME is BUBBLIN』での出来事と未来

VTuber史上初の単独ワールドツアー『LIFETIME is BUBBLIN』での出来事と未来

2025年の11月から開催された「HIMEHINA WORLD Tour 2026『LIFETIME is BUBBLIN』」。
全国6都市(横浜・福岡・大阪・仙台・名古屋・札幌)を巡り、さらには台北、ソウル、サンノゼへと世界へ羽ばたいたバーチャルアーティストHIMEHINA。これまでのすべての想いを乗せHIMEHINA初となる記念すべき東京での凱旋公演が実現。約1年間という月日を経て、2026年10月にグランドフィナーレを迎えました。
アーティスト単独ワンマンライブとして、VTuber史上初のワールドツアーを実施した背景や、込めた想い、今後の展望などを、グランドフィナーレ開催前に株式会社LaRa代表取締役の河村さんにお話しいただきました。

株式会社LaRa 代表取締役 兼 Creative Producer

河村 花野

2026年6月に株式会社LaRa代表取締役に就任。Creative Producerも兼任。

ワールドツアーへの拡大背景とは

━━ 当初はアジアツアーの予定だったとのことですが、ワールドツアーに規模を拡大した背景は何かあったのでしょうか?

河村:実は最初から狙っていたわけではなく、当初はワールドツアーの計画はありませんでした。北米については、突然メールの問い合わせがあり、HIMEHINAのライブを開催してほしいという熱いオファーをいただきました。さらに韓国については、Brave groupの株主であるカカオ(※1)の紹介を通じて韓国の会場の確保ができたことにより、ワールドツアーへと規模を拡大することができました。HIMEHINAがライブを開催したことがない国において、ポテンシャルに賭けてくださった方々に、我々も博打的に賭けた形です。ASIA Tourで作っていた全てのグッズが覆ることになりましたが、エンタメを行っている身としては、世界進出するきっかけとなるこのビッグウェイブに乗るしかない!ということで。偶然ですが、情熱が引き寄せたドラマだと思っています。

(※1)カカオ(Kakao Corp.)とBrave groupは、2025年11月にカカオの投資専門子会社であるKakao Investmentを通して資本業務提携(関連ニュース:https://bravegroup.co.jp/news/10610/)

日本と海外の公演における反響の違い

━━ 海外のJOJI(HIMEHINAファン)の熱量や現地での反響で、特に印象的だったことがあれば教えてください。

河村:各国でライブを開催した際、日本とは異なる盛り上がり(コールアンドレスポンスや演出への反応するタイミングなど)を感じることがありました。海外のファンの方は、次回いつ海外公演があるか分からない状況でもあるので、自分の国でライブが行われることに対して非常に強い思い入れを持っていただいており、日本以上に声が出るような熱狂的な反応を見ることも多々ありました。

海外での公演特有の難所

━━ ワールドツアーということで、海外での公演特有の難しいポイントなどはありましたでしょうか?

河村:そうですね。いくつかありましたが、事例をひとつピックアップするとすれば、現地の言語でのMCの挑戦です。MCなどのコミュニケーションはイントネーションや少しの発音の違いで正しく伝わらなくなってしまい、会場の雰囲気を冷ましてしまうため、なるべく現地のお客さんに伝わるための発音を学習しないといけませんでした。他にも現地調達の機材の問題や最適なプロモーションが国によって違う点など、海外特有の苦労はありました。

今後の海外展開への戦略

━━ 今後の海外展開についてお考えがあれば、ぜひお聞かせください。

河村:今後も意欲的に海外展開をしていきたいと思っています。今回のツアーを通じて、海外の各所のファンコミュニティの醸成状況や、どの程度の熱を持ったファンの方がいてくださっているかを肌で感じ、台北などのアニメやVTuberといった日本のコンテンツとの親和性が高い地域を中心に、アジアを先駆けとして北米やヨーロッパへと順次グローバル展開をしていきたいという想いが強くなりました。音楽は言語を超えて届けられる媒体であるため、今後は音楽を中心に、各国の言語を取り入れてのリリースなど、現地に寄り添った展開を目指しています。

ライブのこだわりと真骨頂

━━ HIMEHINAのライブの特徴や、今回のツアーで感動したポイントを教えてください。

河村:正直、泣きポイントが色々あってうまく語れないのですが笑
HIMEHINAのライブの一番のポイントは、まぎれもなく声出しと合唱だと思います。たくさんのライブをみてこられた記者の方からも、「HIMEHINAの現場は異常。アーティストだけでなく、みんなが揃って沢山の曲を合唱する姿は、他のどのVTuberでも見ることができない」と言っていただいたこともありました。JOJIの姿をみて感じる真骨頂は合唱であり、それはライブを「鑑賞するもの」ではなく、参加者として、一生懸命汗をかいて、足が棒になるまで疲れて、声を枯らしてまで1日を過ごす、一蓮托生の大変さなのかなと思います。
また、今回のツアーに限らずどのライブでも行っていることではありますが、音響の距離計算やLEDの輝度調整など、各会場で厳密な調整を行っています。事前のシミュレーションだけではなく、現地リハーサルでベテランのライブスタッフと相談しながら、直前まで現場対応を重ねることで演出を成立させています。

それらを踏まえると、オープニングのカウントダウンの段階から、個人的には胸にくるものがありますね。HIMEHINAのファン層は、他のVTuberと比較しても老若男女の幅広い年齢層の方々がおり、親子連れでライブに参加される方もいます。実際にライブに来てくださった方々が泣いて笑って、大声で歌っている姿を目の当たりにすると、本当にこんなに多くの方に支えられているんだ、と実感して毎度胸が熱くなります。

ツアータイトル「LIFETIME is BUBBLIN」の哲学

━━ 今回のツアータイトル「LIFETIME is BUBBLIN」の理由についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

河村:これはどちらかというとLIVE全体を演出していて、アルバム「Bubblin」を作ったGohgoの哲学がリードしたコンセプトだと思います。彼の人生観には「生と死の表裏一体」がつきまとっていて、それは等価値で尊いものだと聞いたことがあります。人間や動物も同じですが、人生は極端化すると「出会いと別れ」「生と死」で構成されているのが生命の運命で、それはVTuberのようなバーチャルキャラクターにとっても同じことだと思っています。HIMEHINAが最初に作った「ヒトガタ」や「うたかたよいかないで」といった楽曲でもそれらは語られていて、生命はあっという間にお別れになってしまう、という観念をHIMEHINAはずっと歌ってきているんですね。

今回のライブがLIFETIME is BUBBLINなのはそれをよく表していて、“人生は泡のよう”生まれては儚く消えていく運命なのだ、という哲学を表しているのだと思います。

HIMEHINAはデビューしてから8年間、「生と死」という重いテーマと真摯に向き合い続けてきました。楽曲「遺言」などの制作過程においても、自身の深い感情を歌詞や歌声に乗せようとする姿が見られ、結果その表現力は多くのファンの方々の心を動かし、アーティストとしての成長を日々感じています。

HIMEHINAのアーティストとしての成長と凄み

━━ ツアーを通して感じたHIMEHINAのお二人の成長などがあれば伺いたいです。

河村:歌やダンスが進化したのはもちろんですが、出役としての才能に支えられることが最近は多いですね。ライブは予測できないことも多く、これはどうしよう?とスタッフ側が慌てるような瞬間もあるのですが、そういう時に二人がこれまで蓄えてきた経験が問題を乗り越えてくれるような局面は沢山あるなと思います。MC中に機材が不安定になったときも、お客さんにそれを感じさせないよう話やアクションで気をそらしてくれたり。ぽんぽこりんな所など、本質的には何も変わっていない二人ですが、場数を踏んでいるという経験値こそが、二人に舞台を託せると思う部分です。
また、「生と死」というテーマの根本的な重みを背負えるだけの表現者としての力量や威厳のようなものを二人は持っているな、とこのツアーを通して改めて実感しました。HIMEHINAは、音楽や歌詞を拡散器のように世界に広げる役割を持ちますが、でもそれはただの拡声器ではなくて、意思の力を宿した拡声器だということです。ボーカリストにとってのそれはつまり、歌唱表現であり、言葉の筋と音の節に沿ってどういう声にのせるかが表現者としての力量だと思います。8年前の二人が、少しずつこの哲学に対して向き合ってきた結果、今の表現に至っていると思っています。

ワールドツアーを経て未来への展望

━━ 今回のワールドツアーを完遂した今、Studio LaRa、そしてHIMEHINAはどこへ向かうのでしょうか。河村さんが描く未来予想図をお聞かせください。

河村:グランドフィナーレは、冒険のゴールであると同時に新しい冒険への始まりの風となっています。Day1は前夜祭として盛り上げ、Day2はこの1年間の集大成としての仕掛けを色々と用意しました。

目指したい未来や、やりたいことは色々ありますし、それがユートピアなのかディストピアなのかもわからないですが、予想のできる未来より、向かう先が分からない旅路の方が私は好きです。
予想できない未来のなかで、その時はその時なりの“最高”を諦めない闘いをしているんじゃないでしょうか!
バーチャルエンターテインメントの未来は、きっととっても人間くさい事を価値としている未来なんだと思います笑

(取材日:2026年8月6日)

HIMEHINA LIVE 2027 日本武道館公演について

開催日程:2027年7月13日(火)
開場/開演:16:30/17:30(予定)
会場:日本武道館(〒102-8321 東京都千代田区北の丸公園2番3号)
出演:HIMEHINA(田中ヒメ、鈴木ヒナ)

2023年のライブ『提灯暗航、夏をゆく』で掲げた「5年以内に日本武道館へ行く」という約束をHIMEHINAは叶えます。

▼武道館ライブ特設サイトはこちら
https://spc.himehina.jp/LiveatBudokan27

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