国境を越えて、ファンと共に。StelLive 経営統合の舞台裏

国境を越えて、ファンと共に。StelLive 経営統合の舞台裏

2025年7月、Brave groupは韓国最大級のVTuberプロダクション「StelLive(読み:ステライブ)」と経営統合し、韓国の新たな拠点として「Brave group Korea Inc.」を設立しました。

今回の経営統合は、両社にとってどのような意味を持つのか。国境を越えて、ファンと共にどのような未来を描いていくのか。
Brave group代表の野口、StelLive代表のDohyeon、そして両社の架け橋となった金の3名に、出会いから統合の決め手、今後の展望について話を聞きました。

Brave group 代表取締役CEO

野口 圭登

2011年の在学中に株式会社Vapesを創業。2016年に同社を株式会社ベネッセホールディングスへ事業譲渡、50社以上のスタートアップへのエンジェル投資、共同創業を経て、2020年に株式会社Brave group代表取締役に就任(現任)。

StelLive inc. 代表

Jeong Dohyeon

2012年からストリーマーとして活動。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、総再生回数は約8億回にのぼる。
2023年4月にStelLiveを設立。

Brave group 執行役員 VP of IP Production

金 葵娟

2009年株式会社サイバーエージェントに入社し、フリーランスを経て2018年5月にMateReal株式会社を設立。2021年10月、経営統合により株式会社Brave groupに参画し、2023年10月より当社執行役員就任、2024年10月IP Production 管掌役員に就任(現任)。

出会いは一通のメールから。
惹かれ合った『ファンと共に』という価値観

── 最初の出会いと印象的だった出来事について教えていただけますか。

野口:「会いたいです」とメールを送ったことが始まりです。
海外のいろんなグループをリサーチしている中で、StelLiveの存在を知りました。
メールしてからすぐに返信いただいて、ライブを見学させてもらいました。

Dohyeon:まさか 韓国まで来てくださると思わなかったので驚きました。

野口:押しかけた感がすごかった。私も初めから同席していたので、圧を感じさせなかったか、心配でした。

Dohyeon:それはなかったです。印象良かったです(笑)。

野口:それは良かったです(笑)。ライブのクオリティの高さに衝撃を受けましたし、日本の楽曲も多くカバーされていて、日本文化に対するリスペクトも感じました。
翌日オフィスに伺ったのですが、かなり少数精鋭で運営されていることにも驚きました。「あのクラスのライブがこの少人数でできるんだ。すごいスタートアップがVTuber業界に誕生した」と感銘を受けたのを覚えています。

Dohyeon:ありがとうございます。私はすでにBrave groupのことを知っていたので、ご連絡いただいた時は驚きました。
特に「ぶいすぽっ!」がすごい勢いで成長している様子が印象的で、最初は緊張しましたが、素直に嬉しかったです。
また、「ファンと共に夢を描いていく」という姿勢に、うちの会社と似ているなと親近感を覚えました。

金:韓国にも以前からVTuber市場はありましたが、StelLiveの急成長を見て、韓国においてもVTuber市場が本格的に立ち上がっていくのを感じていました。Brave groupのミッションにも共感していただき、初めてお話ししたときから同じ方向を向いているチームだと感じました。

短期的な利益か、長期的な未来か

── 両社の距離が縮まったきっかけはありましたか?

金:最初にStelLiveを訪問した時から何か一緒にしたいとは思っていました。話をする中で3Dコンテンツ(*)に関するニーズがあると分かったので、是非その部分をサポートさせてほしいと申し出ました。

Dohyeon:3Dコンテンツ制作を進める中で、レベルの高いご支援もそうですが、私たちの個性も認めてくださり、心から応援し、助けようとしてくださる姿に深く感銘を受けました。

野口:この業務提携を通して、お互いを深く理解し、目線を合わせることができました。
経営統合を進める上で、お互いを理解するプロセスは何よりも大切だと考えています。
特に経営チームの方々がどのような想いを持っているのか。StelLiveの皆さんとの対話は、我々にとっても貴重な時間でした。

*3Dコンテンツ:立体的な表現が可能なコンテンツ。3Dモデルで制作したキャラクターアバターは、ダイナミックな動きや細かい表情の変化を自由度高く表現することができる。

Brave groupが制作支援した「純角ユニ誕生日記念3Dライブ」

── Naver Cafeにも書かれていましたが、多くの企業からお誘いを受けていた中で、なぜBrave groupをパートナーとして選んだのでしょうか。

Dohyeon: 投資をしたいというお話は多数いただきましたが、その多くは短期的な利益を求めるものでした。そして当時のStelLiveは発展途上で、3Dコンテンツ制作に必要な技術力や経験がまだ十分にない状況でした。
そんな中でBrave groupは、我々が抱える課題や未熟な部分を深く理解しようとしてくれたのです。単なる投資や技術提供だけでなく、「StelLiveにとって本当に必要なものは何か」を一緒に考えてくれる姿勢に、心を動かされました。

ファンやタレント、メンバーと共に描く未来

── 経営統合するにあたって、StelLiveのメンバーやタレントの皆さん、ファンの皆さんはどのような反応でしたか。

Dohyeon:メンバーやタレントからは驚きと共に「社長が決めたことなら大丈夫」「会社がもっと大きく成長できる」とポジティブな反応や声をもらいました。
私たちが最も大切にしているのは、ファンとタレントの絆です。Brave groupとなら、このスタイルを貫けるとメンバーやタレントも共感してくれたんだと思います。
ファンの方々には「StelLiveのコミュニティは楽しそうだ。このコミュニティで一緒に楽しいことをしたい」と思っていただけるような、温かい雰囲気をつくりたいと常に考えています。

野口: ファンやタレント、一緒に働くメンバーが一丸となって新しいものをつくり続けていく。Brave groupも様々な苦節を経て、その大切さを実感してきました。
今回の統合に対するファンの皆さんの反応もとてもポジティブで、「StelLiveを頼むぞ」と温かい声援を韓国語や英語でもたくさんいただきました。その想いに応えるためにも、より良い体験を提供していかなければと、改めて身が引き締まる思いです。

金:Brave groupアカウントもですが、野口さんのXのフォロワーも増えましたよね。
StelLiveの動画にも日本のファンの方からのコメントが増えていて、国境を越えた交流が生まれているのを感じます。

共につくる、日韓エンターテインメントの新しい未来

── 今後の展望を教えてください。

Dohyeon:まだ実現できていないグループ全体のコンサートや、ファンの方々と直接交流できるオフラインイベントなど、Brave groupの力を借りながら挑戦したいことがたくさんあります。これまで1~2年ほどかかっていた3Dモデル制作の期間も、これからは大幅に短縮できると期待しています。ファンの方に「ずっと応援していて良かった」と思ってもらえるように、楽しいことをずっと長く続けていきたいです。

金:3Dコンテンツに関しては、最も早くファンの皆さんに新しい姿をお見せできる部分だと思うので、ぜひ期待して欲しいですね。今後もStelLiveとBrave groupのハブとなって皆さんへ新しく、楽しい体験を提供し続けていけるよう、尽力します。

野口:Brave groupの役割は、StelLiveをはじめ、グループ会社が描く夢を全力でサポートすることです。「Brave groupとしてこうしたい」ではなく、「StelLiveとしてこうしたい」という想いを最大限に尊重し、我々が持つアセットやノウハウを提供していきたい。
韓国市場は我々にとっても初挑戦ですが、共に新しい価値を創造していけることを楽しみにしています。

Dohyeon:StelLiveはまだまだ成長中の小さな会社です。未熟な点も多いかと思いますが、どうか温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
そして共に長く歩んでいきたいです。改めてこれからどうぞよろしくお願いします!

野口:私も同じ気持ちです。ここからが新しいスタートなので。長期的にお互いをリスペクトし合えるベストパートナーとして、共に未来を歩んでいけたら嬉しいです!

(取材時期:2025年8月)

最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の経営統合が単なる事業規模の拡大だけでなく、お互いの想いに対する深いリスペクトと信頼関係から生まれたものであることをお伝えできていたら幸いです。
国境を越えてファンと共に、我々が生み出す未来に、どうぞご期待ください。

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