
2023年7月3日、株式会社Brave group(以下、Brave group)との経営統合により、グループの一員となったGeek Hive株式会社(以下、Geek Hive)は、Brave groupにおいて現在の多角的な経営方針を推進するための「出発点」となりました。
今回は、Brave group代表取締役CEOの野口 圭登と、Geek Hive創業者であり代表取締役の鈴木浩章さんの対談をお届けします。
株式会社Brave group 代表取締役 野口 圭登
2011年の在学中に株式会社Vapesを創業。
2016年に同社を株式会社ベネッセホールディングスへ事業譲渡、50社以上のスタートアップへのエンジェル投資、
共同創業を経て、2020年に株式会社Brave group代表取締役に就任(現任)
Geek Hive株式会社 創業 代表取締役 鈴木 浩章
2013年コードキャンプ株式会社を共同創業、その後フューチャーアーキテクト株式会社へ売却
2019年 Geek Hive株式会社創業、代表取締役に就任(現任)
2023年 Brave groupと経営統合
「ギャップ」への気付きが、プログラミング教育事業「コードキャンプ」起業のきっかけに
野口:鈴木さんが「コードキャンプ」を創業した時のきっかけって、何かあったんですか?
鈴木:僕はもともとエンジニア職に就きたかったんですが、地方だと就職先がなくて。それをきっかけに上京して、2009年にモバイル系の開発会社に入社したんですよね。
野口:新卒最初の部署がシステム統括本部で、エンジニアだけの部署で。その後BtoBの営業チームでエンジニアとして配属になりました。
その結果、環境がガラッと変わった感じがして。コミュニケーションの仕方がエンジニアと非エンジニアだと単語レベルで違って、ギャップを感じました。その経験から、プログラミングとコミュニケーションに向き合うようになったと思います。
野口:それが最初の起業につながると。
鈴木:そうですね。実は当時星さんがテックアカデミーをやっていて、ライバル的な事業でした。
野口:うわ、懐かしい!
鈴木:モバイルコンテンツ系の会社にいた当初の話に戻るんですが、開発現場で「コミュニケーションのバグ(齟齬)」を感じる出来事があったんですよね。
それ自体は些細なことだったんですけど、コミュニケーションの齟齬って、影響が大きいじゃないですか。例えるなら、プログラムのミスは直したらいいし、失敗しても割り切れるじゃないですか。でもコミュニケーションのバグって、間違い探しというか、、、犯人探しみたいになるので、引きずるんですよね。
野口:わかるなあ、本当に大事だと思う。実際、人と人とのトラブルが一番大変ですからね。
鈴木:そういった経験から、プログラミングとコミュニケーションの関係性を意識するようになりました。
「かけた時間がすべてだと思う」鈴木さんが、開発に注ぎ込む時間を「エンタメとして楽しむ」極意
鈴木:僕自身は結構ワーカーホリックで、最終的には「かけた時間が全てだな」と思っています。ですので、開発を習慣化して、時間が来たら「とにかくやる」というルーティンで業務に取り組んでいました。
でも最近そこの一段上というか、開発そのものが「エンタメ」に変わっている感覚があります。習慣自体に面白みが加わると、苦痛じゃなくエンタメになるんですよ。
そうすると時間が取れて「暇だからドラマを見る」みたいな感覚になるので、無限に開発できちゃうんです。結果として、開発にかける時間が増えるので、それに伴ってスキルも相当上がってくるんですよね。楽しんで開発している感じです。
野口:わかるなあ、いい意味での公私混合みたいな。ゾーンに入るんですかね。
鈴木:そうですね(笑)。ゾーンに入ると、僕は結構無口になるというか、わかりやすく冷たくなりますね(笑)。
人と人とのつながりが生み出すBrave group。
鈴木:最初に星さんと出会ったのは2017年とか2018年くらいで、野口さんと出会ったのもそのくらいですよね。
野口:そう。当時お互い面識はなかったと思うんですが。
当時、キュレーションメディアビジネスが活況だった時代ですね。色んなメディア事業をやっていこうという、同じ思いを持った仲間内でメッセンジャーのグループがあって。今思うと、凄いメンバーなんですけど、当時は結構「荒くれ者」たちで。
そこのメッセンジャーで矢継ぎ早に決まる案件に、鈴木さんが柔軟に対応されていたんですよね。背景や文脈を理解してちゃんとコミュニケーションが取れるって、結構稀有な人材だと思っていて。鈴木さんは柔軟性と理解度が優れているので、助けられた人は物凄く多かったと思います。
その友人たちは、みんな強烈な人たちばかりなので、なかなか「人を認めない」んです。星さんも、「自分に厳しく、他人にも厳しい」。だから、なかなか人を認めることはない。
その当時の荒くれた友達や星さんから認められる存在の鈴木さん、という印象でした。
鈴木:僕は当時、野口さんと面識がなかったから、「荒くれ者」の一人だと思っていました(笑)!でも、話してみると意外と話せる方だった、みたいな。
野口:そうですよね。当時、僕はそう思われていたかもしれない(笑)。
でも、まさか当時の縁が続いて同じグループになるなんて。考えてもいなかったですよね。VTuberもやる前だし、本当に縁ってつながってるなって。
Brave groupはこれまで8社(※2025年1月の取材当時)経営統合した会社があって、今年もどんどん増えていくと思うんです。
でも、VTuber事業もやる前からの縁が繋がっているっていうのはグループ内でも稀有な例で。
Geek HiveがBrave groupにグループインしてくれたことが、今のBrave groupの多角的な事業展開へ繋がったと思っています。
当初はVTuber会社だけをロールアップしていくつもりだったから、今みたいな多角的なM&A戦略も無かった。
正直なところ、別事業のM&Aをする意思決定ってロジカルに考えると結構通しづらいと思うんです。
でも、様々な社内外の承認プロセスの中で、星さんがめっちゃ熱意を持ってプレゼンしてくれた。結局は「熱意の一手」なんですよ。でも、そのGeek Hiveのグループインがなかったら、D1(※現在はD1-Lab)や、Smarpriseのグループインに繋がっていなかった可能性がある。今の多角的な事業展開への「重要な一手」だったと思います。
鈴木:え、それはちょっと感動するな…。
野口:だから、やっぱり鈴木さんはすごい稀有な存在だったんです。
結局のところ、Brave groupって人の縁でくっついていて。星さんと鈴木さんでまず信頼関係があって、僕自身も鈴木さんと接点があった。
そういったいろんな信頼クレジットの積み重ねによって、最終的に星さんの熱意が、僕と舩橋にちゃんと伝わった。
そういった人の縁の中でBrave groupは成り立っていますね。
今までのM&Aも、様々なリファラルや縁だけで成立しているんで。
ぶいすぽっ!ファンクラブで固まった社内の絆
野口:いざ、Brave groupに「ジョインしよう」って思えたきっかけや、心情の変化はあったんですか?
鈴木:それで言うと、やはり合理的な判断だったんだと思います。
営業と採用に手が回らないという課題があったので、グループインしてそのサポートを受けられるっていうのは大きいと思いました。それから、社員の働きやすさの観点でも、グループインすることで安心して働ける環境が整うかなと感じました。個人的には星さんや野口さんと一緒に取り組む方が面白い案件に取り組めそうだっていう期待感もありました。
野口:グループインしてからは、いかがでしたか?
鈴木:まず僕自身の心理的な変化が大きかったと思います。
独立資本で経営していた当時は、お金を稼がないと不安で不安で仕方がなかった。「自分のリソースをお金にしよう」っていう考えに躍起になっていて、労働集約型の働き方に陥ってました。今はパッケージや土台を整え、戦略的に進められるように変化しましたね。
野口:なるほど、すごいポジティブに言っていただけて、ありがたいです。鈴木さんは、そもそもVTuberへの興味とかはあったんですか?
鈴木:コンテンツや仕組みはなんとなくわかっていましたが、正直なところ、詳しくはありませんでした。でも、グループインする前に携わっていた某アニメのゲームの、ファンのエネルギーが凄かったんですよね。
同じような熱量を、ぶいすぽっ!ファンにも感じていました。
鈴木:ぶいすぽっ!ファンクラブの開設は、昨年のプロジェクトで一番大きく、社内が活性化した案件でも有りました。
職種の枠を超えて社員全員でデバッグを行うなど、さまざまな事をチームで乗り越えました。
ぶいすぽっ!ファンクラブのサイトは、シンプルではありながら要求も高くて大変だったと思います。何よりアクセスの数は想定外でした。初日は予想以上の反響があり、やはり嬉しい悲鳴でしたね。
野口:凄かったですよね。
鈴木:そうです、それもゲリラ的にアクセスが増えたじゃないですか!
例えばオープン直後とかじゃなくて、ぶいすぽっ!メンバーがSNSにポストしたら一気に来るとかで。予告なしに来るのはちょっと怖さを感じることもありました(笑)。
野口:そう考えると、Geek Hiveがグループインしたこの1年半くらいの短い期間で、Brave groupの状況もかなり変化しましたよね。
ほかの各社のIPコンテンツ力も日に日に増していると思うので、「IPのコンテンツ力✕Geek Hiveの開発力」のレバレッジが、より強く効いているという実感はあります。
鈴木:今後はグループ内でもっとシナジーを出していきたいですね。再現性を高め、他のIPや事業に転用できる仕組みや、データに施策を落としてそれを横展開したいという目標があります。
ぶいすぽっ!との取り組みは、ひとつの大きな成果となりました。
他のグループ会社に提供できる仕組みも整えていますし、見えない資産が着実に蓄積されていると感じます。
さらにシナジーを創出していけるよう、頑張ります!
(取材日:2025年1月7日)
採用情報/経営統合・資本業務提携のご相談はこちら
→BACK TO TOP